メイクノスタルジーを創造するのに不可欠な外壁。ヨーロッパ主要国の住宅では、塗り壁やレンガ、ストーンが多く使われ、アメリカでは、スタッコ(塗り壁)が主流です。わが国の一般的な住宅にはサイディングが多く使用されています。耐久面やデザイン性においても本物の自然素材には劣る外壁材がなぜ日本では主流となるのでしょうか。劣化しやすく、メンテナンスの頻度の高い材質が基準となるその理由。それは、戦後の歴史にあります。高度成長期には施工性が早い工業製品の住宅が必要でした。そしてスクラップ&ビルドを繰り返し、経済を活性化させてきたのです。
かつては日本の住宅も、メンテナンスをしながら100年200年と暮らし続ける。そんな各国と同じような住宅の歴史がありました。職人の手仕事が、手間ひま掛けて造る塗り壁工法です。繊細なデザインの美しさ、自然に美しく溶け入る素材感が感じられます。私たちはこの工法を活用し、仕上げのデザイン次第で多彩な表情を創り出す事ができるうえに、高い水準の耐久性、防火性を併せ持つ「塗り壁の現代版吹き付け仕上げ」にたどり着きました。
普段の生活の中で、屋根の形や材質などを気にされてきた方は少ないと思います。しかし屋根には、日光の熱や雨風から家を守るという重要な役割があります。そして、住宅のデザイン性にも大きく関わります。私たちは瓦葺きの屋根を採用しています。自然と融和する見た目の美しさはもちろん、屋根構造との間にできる空気層が断熱効果も発揮します。また、スレート葺き等の屋根材より遥かに耐久性能も高く、経年美化してゆく素材です。
日本の文化には必ずと言っていい程、四季のうつろいが深く関係します。それが色濃く感じられる要素のひとつは草木です。草花が色づき始める春、青々とした力強い新緑の夏、紅に染まる秋、葉を落としてもなお樹氷として美しさを増す冬など。季節によって表情を変える街の美しさは、緑によるデザイン力といってもいいでしょう。日本の建築文化に、中庭や坪庭などがありますが、これは緑を少しでも取り入れることで四季が身近に感じられる住宅設計です。
対して、緑が少なくコンクリートを打ち放しただけのエクステリアは、無機質で暖かみに欠けます。落ち葉の掃除をしなくても済む、そんな利便性だけを追い求めた可哀想な外構。住宅と共存し、資産価値をも高める庭を与えてもらえない住宅に問題を感じています。植栽をデザインすることによって、住宅の品格が決まると言っても過言ではありません。
自然に触れ、四季を感じ、街並全体で、季節を演出することが大切です。さらに、風に揺らめく緑の陰影がデザインされると、魔法をかけられたように建物は色艶を纏い始めます。